スーパーコンピュータを用いた生命科学分野でのシミュレーションや大規模データ解析を通して、生命体における現象を統合的に理解し予測を行う新たな科学領域の進展を支え、育成・発展させて、わが国における学問・文化・産業の発展に寄与することを目的にバイオスーパーコンピューティング研究会 (BSCRC)が2009年に設立されました。
今回バイオスーパーコンピューティングに関心をお持ちのさまざまな分野の研究者が集い、産官学にわたる研究者間の交流・連携を図り情報発信を推進する目的で、「バイオスーパーコンピューティング神戸2015」を神戸ポートアイランドにある神戸大学コンベンションホールで開催致します。
なお開催日は、同じポートアイランドで開催される分子生物学会年会の前日にあたります。より多くのみなさまのご参加をお待ちしています。
主催: バイオスーパーコンピューティング研究会 (BSCRC)
共催: 国立大学法人神戸大学 計算科学教育センター
後援: NPO法人日本分子生物学会、文部科学省 HPCI戦略プログラム 分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤」、NPO法人バイオグリッドセンター関西、公益財団法人都市活力研究所、国立研究開発法人理化学研究所 情報基盤センター
記
1. 開催日時: 2015年11月30日(月) 13:30 - 17:30
(受付開始 12:45)
2. 会場: 神戸大学 統合研究拠点コンベンションホール
(ポートライナー「京コンピュータ前」駅より徒歩1分)
神戸市中央区港島南町7丁目1番48 地図
3. 参加対象: 生物学、医学、薬学、化学、物理学、工学、情報科学などバイオスーパーコンピューティングに関連する様々な分野の研究者・大学院生、および当テーマに関心のある方
4. 参加費: 無料
5. 参加申込方法: (終了しました)
(本イベントは、神戸大学 計算科学教育センターのご支援により、成功裏に終了することができました。参加申込みは55名、秋晴れの中40名強の方が出席し、熱心に講演を聞かれていました (下記会場風景)。)
6. プログラムおよび講演概要
(プログラムは都合により変更されることがありますので、ご了承ください)
司会: 西島和三 (BSCRC理事、持田製薬(株)
医薬開発本部)
13:30 開会挨拶
姫野龍太郎 BSCRC 会長
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13:40 - 14:15 講演1
「知識から知恵へ」
中村春木 大阪大学 蛋白研究所 所長
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シミュレーションとビッグデータ解析が、従来の実験・理論による取り組みに対比して、第3、第4の科学とそれぞれ称されトレンドとなっている。科学の目的が自然界の原則・法則を理解する「知恵」を産み出すこととすると、特に生命科学に有効と思われる第3、4の科学のアプローチ法は、従来の第1、2の科学のアプローチ法とは本質的に異なる。その点を明示し、皆様と議論を行いたい。
「生体分子系における非平衡過程」
田中成典 教授
神戸大学大学院 システム情報学研究科
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タンパク質フォールディングやリガンドドッキングを念頭に置いた、ランジュバン・ダイナミクスの理論解析を、古典系から量子系へのマッピングを行うことで系統的に行う。経路積分による定式化に基づいて、問題を拡散量子モンテカルロ法によるシミュレーションに帰着させ、いくつかの典型的なモデルポテンシャルに対して、自由エネルギーの緩和過程を基底状態探索の形で記述する。
14:50 - 15:25 講演3
「粗視化シミュレーションの最前線:現状と課題」
高田彰二 教授
京都大学理学研究科 生物物理教室
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構造生物学やゲノムシークエンシングの技術革新は目覚ましく、分子シミュレーション解析のニーズも急激に大規模化している。近年、分解能を落として高速化を図った粗視化シミュレーション研究が盛んである。私たちは、巨大蛋白質・核酸系をシミュレーションできる粗視化モデルと、そのソフトウエアCafeMolを開発してきた。粗視化シミュレーションの現状を概観し、その課題を整理する。
15:25 休憩 (15分)
「計算と光を融合活用した理論分子設計の実現についての調査研究について」
鶴田宏樹 副センター長・准教授
神戸大学 応用構造科学産学連携推進センター
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科学技術基盤(スーパーコンピュータ「京」や大型放射光施設「SPring-8」)の融合活用による理論的分子設計手法を強みとした産業の創生と育成における課題抽出と先端研究インフラを活用した産学官連携プロジェクトによる解決手法、社会実装による新しい価値創造の実現に資する調査研究について紹介する。
「データ統合と計算の融合による創薬研究」
水口賢司 バイオインフォマティクスプロジェクト プロジェクトリーダー
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
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ゲノム科学とハイスループット技術の進展に伴い、薬効・毒性に関係する大量の実験データの利用が可能となり、従来型の創薬研究の枠組みは変革を迫られている。我々が指向する、計算生物学によるシステムとしての生体応答の理解を通した創薬研究では、多様なデータの統合と、計算化学的手法を含む大規模計算とを組み合わせることが必須であり、その具体的な取り組みを紹介したい。
「スーパーコンピュータの将来」
小柳義夫 特命教授
神戸大学 計算科学教育センター
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科学技術計算を主要な目的とする高性能計算機「スーパーコンピュータ」は、
1970年代から急速に発展し、現在、1 PFlops(1秒間に10^15回計算できる性能)
を越えるスーパーコンピュータは、世界で60台を越えている。我が国でもポス
ト「京」プロジェクトが進められている。今後どこまで発展するのか、何が問題なのか、これにより何が可能になるのかを明らかにしたい。
17:30 終了
7. 研究会入会申込み (年会費無料)
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問い合わせ先: バイオスーパーコンピューティング研究会事務局 (jimukyoku@bscrc.jp)