スーパーコンピュータを用いた生命科学分野でのシミュレーションや大規模データ解析を通して、生命体における現象を統合的に理解し予測を行う新たな科学領域の進展を支え、育成・発展させて、わが国における学問・文化・産業の発展に寄与することを目的にバイオスーパーコンピューティング研究会 (BSCRC)が2009年に設立されました。
今回バイオスーパーコンピューティングに関心をお持ちのさまざまな分野の研究者が集い、産官学にわたる研究者間の交流・連携を図り情報発信を推進するために「バイオスーパーコンピューティング名古屋2015」を開催致します。
多数のみなさまのご参加をお待ちしています。
主催: バイオスーパーコンピューティング研究会 (BSCRC)
共催: 名古屋工業大学
後援: 文部科学省 HPCI戦略プログラム 分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤」、日本分子生物学会、バイオグリッドセンター関西、都市活力研究所
記
1. 開催日時: 2015年1月22日(木) 13:30 - 17:25
(受付開始 13:00)
2. 会場: 名古屋工業大学 講堂
(JR名古屋駅より交通機関利用でおよそ15分。緑豊かな鶴舞公園のそば)
名古屋市昭和区御器所町 地図
3. 参加対象: 生物学、医学、薬学、化学、物理学、工学、情報科学などバイオスーパーコンピューティングに関連する様々な分野の研究者・大学院生、および当テーマに関心のある方
4. 参加費: 無料
5. 参加申込方法
(本イベントは、名工大URAオフィスのご支援により、成功裏に終了することができました。参加申込みは79名、雨の中にもかかわらず51名のかたが出席し質疑応答も活発でした。(下記会場風景)。)
6. プログラムおよび講演概要
(プログラムは都合により変更されることがありますので、ご了承ください)
司会: 西島和三 (BSCRC理事、持田製薬(株)
医薬開発本部)
13:30 開会挨拶
鵜飼裕之 名古屋工業大学長 及び 姫野龍太郎 BSCRC 会長
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鵜飼裕之 名古屋工業大学長 |
姫野龍太郎 BSCRC会長 |
昆虫とコンピュータとロボットで探る脳
神崎亮平 教授
東京大学先端科学技術研究センター
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動物が環境下で適切に行動するための脳のしくみを解明するため,カイコガの匂い源探索行動を対象に,感覚の入力から行動が起こるまでの神経回路を神経細胞から精密に再構築し,コンピュータによるシミュレーション,移動ロボットへの実装,さらには脳から出力される行動指令信号で動作する移動ロボット(サイボーグ昆虫)を用いて研究を展開している.研究の最前線を紹介する
光応答性タンパク質の実験研究者が計算科学に期待すること
神取秀樹 教授
名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻
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私たちは、ロドプシンなど光応答性タンパク質が光を吸収するとなぜ機能を発現できるのかという問題に対して、分光学を中心とした実験研究により挑み続けている。計算科学には大きな期待がある一方、「ロドプシンについて理論家の言うことは信用しなくていいから」といつも学生に言っていることも事実である。計算科学の大いなる発展の中、このような実験研究者の立場から話題提供したい。
臨床医の世界とスーパーコンピューター
後藤信哉 教授
東海大学医学部内科学系循環器内科学
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われわれは日常診療にて電子カルテを使用している。日本国内では約30万人の医師がおり、膨大なデジタル化された診療情報が毎日コンピューター上に蓄積されている。「エビデンスに基づいた」現在の診断、治療法の持続的改善に膨大なデジタル情報を利用しない手はない。現在の臨床医が診断、治療の根拠とする「エビデンスに基づいた」医療の論理とスパコン応用の可能性について解説する。
15:25 休憩 (15分)
拡張アンサンブル法による生体分子シミュレーション
岡本祐幸 教授
名古屋大学 大学院理学研究科 物理学教室
理論生物化学物理 (TB) 研究室
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生体分子系などの複雑系にはエネルギー極小状態が無数に存在するために、シミュレーションがそれら極小状態に留まってしまい、誤った答えを出すという困難が存在する。我々は拡張アンサンブル法と総称される強力な手法を蛋白質の折り畳み問題、膜蛋白質の立体構造予測問題、薬剤候補のドッキング問題などに適用してきた。本講演では、これらのシミュレーションの最近の成果を報告する。
新しい原子論的シミュレーション法/アルゴリズムでチャレンジする自動車関連部品の高性能化
尾形修司 教授
名古屋工業大学 大学院 工学研究科創成シミュレーション工学専攻
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我々は最近,オーダーN型の実空間グリッド電子状態計算法,大規模系に適用可能なハイブリッド量子古典シミュレーション法,最高速な剛体分子動力学アルゴリズムなどを,スパコン向けに開発した.これらを適用した,Liイオン電池,パワー素子の放熱材料,エンジンのクーラント液などの性能改善に向けたチャレンジを紹介する.
京コンピュータを用いた小児マヒウイルスの全原子分子動力学シミュレーション
岡崎進 教授
名古屋大学大学院工学研究科 化学・生物工専攻 先端物理化学講座 理論・計算化学研究室
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小児マヒウイルスカプシド(殻)に対して全原子分子動力学シミュレーションを実行することにより、これまで不明であったウイルスの分子論的ふるまいを明らかにすることを試みた。その結果、溶媒である水はカプシドの内外を行き来する一方でイオンは透過しないこと、また空のカプシド内部は負の圧力となっていること等が明らかになってきた。感染初期過程についても検討する。
17:25 終了
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問い合わせ先: バイオスーパーコンピューティング研究会事務局 (jimukyoku@bscrc.jp)