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講演者および講演概要

(13:30-13:40) 開会挨拶 

バイオスーパーコンピューティング研究会

会長 姫野 龍太郎

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構

機構長 山本 雅之

 

司会: 西島和三 (バイオスーパーコンピューティング研究会 理事)

持田製薬(株)医薬開発本部 課長

東北大学 未来科学技術共同研究センター 客員教授

東京大学大学院 農学生命科学研究科 特任教授

横浜市立大学 特任教授(先端研究担当URA)

 

(13:40-14:20) 基調講演: バイオスーパーコンピューティングの更なる発展を目指して

 理化学研究所 情報基盤センター長 姫野 龍太郎

医学、薬学、医療工学を含む幅広く捉えた生命科学を、それぞれの専門を越えてスーパーコンピュータを使って結びつけたのがバイオスーパーコンピューティングです。京の開発を契機に生命科学のグランドチャレンジとしてスタートした、このバイオスーパーコンピューティングですが、今、京の100倍のExaを目指した開発が始まろうとしています。より長期的な視点で、分子から細胞、臓器、個体のスケールを統合するマルチスケールモデリングと、大量の実験データから、その裏に潜む法則を探るビッグデータ解析を我々は目指すべきでしょう。その方向性と、そのための方策を議論します。

 

(14:20-15:00) 予測医療を目指して −マルチモダリティと血流シミュレーションの融合−

 東京大学 生産技術研究所 教授 大島まり

 近年、血管内治療が普及し、患者の身体的・経済的な負担が軽減されています。一方、頸動脈ステント留置手術後、過灌流による脳内出血の誘発などの症例が報告されています。本研究では術後の血行動態予測のため、MRI、CTやSPECTなどの医用画像情報と血流シミュレーションの融合し、患者個別に対応した治療支援システムの開発を行っています。概説とともに具体的な症例への適用例を紹介します。 

 

 

(15:00-15:40) 計測融合シミュレーションによる血流解析

 東北大学 流体科学研究所 教授 早瀬 敏幸

循環器系疾患の機序の解明や新たな診断・治療法の開発には、生体内の血流動態や血行力学パラメータを正確かつ詳細に知ることが不可欠です。本講演では、そのための手法として現在広く用いられている、医用画像診断装置と数値シミュレーションについて述べた後、両者の長所を併せ持った新しい血流解析手法である計測融合シミュレーションについて、その原理と応用例について紹介します。

 

 

(16:00-16:40) 予測する生命科学・医療および創薬基盤:「京」を用いた計算生命科学

 文部科学省 HPCI戦略プログラム 分野1 副プログラムディレクター 木寺 詔紀

HPCI戦略プログラム分野1は、スーパーコンピュータ「京」を活用することに よって、生命科学分野の課題を解決することをめざすプロジェクトです。そこで 行われている課題、「分子シミュレーション:細胞内分子ダイナミクスと創 薬」、「臓器・全身シミュレーション」、「大規模生命情報解析」における研究 について、その現状と展望についてお話しします。

 

(16:40-17:20) 大規模ゲノム情報解析研究に必要なスパコン環境の構築

 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 副部門長 教授 木下 賢吾

ゲノム配列解析のコストは急激な勢いで下がり、大量のゲノムデータが生産されるようになってきました。本講演では、大量のゲノム情報解析を行う基盤としてのスパコン環境の重要性を、今年3月末に東北メディカル・メガバンクに導入されたスパコンの事例交えて議論します。また、究極の個人情報であるゲノム情報解析に必要なセキュリティとシステムの持続可能性に関して今後の課題を検討します

 

(17:20-18:00) データ同化によるエミュレータ・デザイン学の創設

 情報・システム研究機構 統計数理研究所 所長 樋口 知之

研究対象が地球環境や生命体といった複雑なシステムになってくると、そのシステムの理解には、目的や価値を正面から取り込んだ科学体系である設計科学のアプローチが認識科学よりも筋が良い。システムが示す複雑な現象を予測し、その多様な機能を模倣する計算モデルをエミュレータと呼び、予測性能の向上を通じてエミュレータを設計・改良するための数理的基盤の構築が今求められています。